
テレワークの生産性を向上するメタバースオフィスについて解説。3D・2Dのメタバースオフィスを8社比較し、導入メリット・デメリットを紹介します。
テレワークが普及し、コミュニケーションの難しさや一体感の希薄化など新たな課題に直面する企業が増えています。
テレワークでのコミュニケーションツールとしてチャットツールやWeb会議ツールが使われてきましたが、リアルのオフィスのように円滑なコミュニケーションができないという課題が浮上しました。
そこでこの記事では、こういったテレワークの問題を解決できると期待される「メタバースオフィス」について解説。メタバースオフィスの導入で得られるメリットを押さえた上で、3D・2Dのメタバースオフィスを8社比較し、メタバースオフィスの現状に迫ります。
メタバースオフィスとは
メタバースオフィスとは、「インターネット上の仮想空間にある擬似的オフィス」のことです。
仮想空間の中に社員のアバターが表示され、あたかもリアルオフィスで話しているかのような感覚が味わえるのです。例えば、メタバースオフィスの中に自分の机と席があったり、会議室や応接室があったりなど、テレワークにはない「環境や場」が提供されます。
また、メタバースオフィスには3Dと2Dがあります。
3Dメタバースオフィスはリアルオフィスに近く、人の身振りなどの動きを忠実に再現してくれるツールもあるため、自然なコミュニケーションができます。
2Dは何より「気軽さ・手軽さ」が魅力で、ワンクリックで話しかけられるツールもあり、テレワークで失われがちな「ちょっとした会話」が再現可能です。

また、メタバースオフィスは2025年度に180億円の市場規模になると予想されています。テレワークの普及と同時にメタバースオフィスも普及し、今後はさらに注目を集めるツールとなっていくでしょう。
メタバースオフィスの導入で得られるメリット
2022年現在、すでにメタバースオフィスを導入している企業は数千社あります。導入企業はメタバースオフィスの何にメリットを感じているのか見ていきましょう。
メタバースオフィスを導入すると3つのメリットが得られます。
- テレワークでも円滑なコミュニケーションが可能
- オフィス賃料の削減
- メンバーの勤務状況の可視化
テレワークでも円滑なコミュニケーションが可能
メタバースオフィス最大のメリットは「テレワークでも円滑なコミュニケーションができること」です。
なぜなら、物理的に離れていてもインターネット上の「すぐそこに」メンバーがいるからです。
例えば、テキストではなく音声の方が手っ取り早いと感じたとき、メタバース上にいるメンバーのアバターに話しかけるだけで解決します。北海道にいようが、沖縄にいようが、アメリカにいようが「そこに」メンバーがいるため、チャットツールやWeb会議ツールよりもスピーディなコミュニケーションが可能なのです。
また、気軽に声をかけられる環境があると、メンバーの不安感・孤独感を解消でき、さらに「一体感」が生まれます。入社したばかりの新メンバーにみんなが声をかけられる環境があることで、「安心して」働くことができ、エンゲージメントが高まるのです。
オフィス賃料の削減
メタバースオフィスは物理的なオフィスよりも90%以上オフィス賃料を削減できます。
| 項目 | リアルオフィス(新橋・汐留 25坪) | 3Dメタバースオフィス(Virbela) | 2Dメタバースオフィス(VoicePing) |
|---|---|---|---|
| 賃料(月額) | 489,900円 | $100 | 7,500円 |
| 人数 | 約10人 | 10人 | 15人 |
チーム規模や場所にもよりますが、固定費を月40万以上削減し、リアルオフィスと同じようなコミュニケーションが取れると考えると、メタバースオフィスへの投資効果は高いと言えます。
また、メタバースオフィスでは社員が増えても増設や移転をする必要はなく、Web上で手続きをするだけです。企業規模拡大や大幅採用を考えている企業は、オフィスの移転先を「メタバースオフィス」にするなんてことも可能です。
オフィスを完全にメタバースに移転せずとも、リアルオフィスを持ちながら、出社とテレワークを組み合わせる「ハイブリッドワーク」への移転でもコストを削減できます。「必要最低限のオフィス」×「月額の安いメタバースオフィス」でコスパも生産性も向上させられるのです。
メンバーの勤務状況の可視化
メタバースオフィスの導入により、テレワークでもメンバーの勤務状況が可視化されます。メタバースのオフィスにログインするだけで誰が出社しているかがわかり、メンバーが何をしているかがわかるのです。
たとえば、自分の席について何か作業をしているのか、休憩スペースで誰かと会話しているのかなどがわかります。
また、2Dのメタバースオフィスでは「ステータス」が表示可能です。例えばVoicePingという仮想オフィスツールは、パソコンの操作がなければ自動で「離席中」のステータスに変わったり、Googleカレンダーと連携することでステータスが自動で管理されるツールもあります。
メンバーの状況が一目でわかるため、無駄な声かけやチャットをする必要がなくなり、生産的なコミュニケーションができるのです。
メタバースオフィスのデメリット
メタバースオフィスにはデメリットもあります。
- 浸透に時間がかかる
- VR機器やパソコンのスペックが求められるツールもある
- 法整備が追いついていない
浸透に時間がかかる
メタバースオフィスは、企業規模が大きければ大きいほど浸透に時間がかかってしまいます。導入する場合には、まず1つの部署からスモールスタートし、課題を洗い出し、全社へ広げていくという流れが安全です。
しかし、その投資効果を経営層に理解してもらったり、ITツールに不慣れなメンバーの学習コストがかかったり、スムーズに導入できない可能性があります。
逆に言えば、規模が小さいうちに導入しておけば、メタバースオフィスがスタンダードになるため、企業規模が大きくなる前に導入しておくのも1つの手でしょう。
VR機器やパソコンのスペックが求められるツールもある
メタバースオフィスの中でも「3D」メタバースオフィスはVR機器、通信品質、パソコンのスペックが求められるツールもあります。
例えば、MetaのWorkroomsでチームアカウントを作成する際にはMeta Quest 2ヘッドセットが必要です。公式サイトでは最低価格59,400円(128GB)でした。(2022年8月時点)
ただ、「2D」のメタバースオフィスは軽量設計で起動したままを前提に作られています。2Dはパソコンのスペックや通信品質が求められず、快適に使用できるのです。
法整備が追いついていない
メタバースオフィスの3つ目のデメリットとして、法整備が追いついていないことが挙げられます。なぜなら、物理的なオフィスがないと国から許認可が下りない事業があるためです。
しかし、自宅を事業所にしたり、小さなメインオフィスだけを借りれば解決可能です。「今は」法整備が追いついていないだけで、今後メタバースオフィスが普及するとともに法律が変化していく可能性も十分考えられます。
3Dメタバースオフィスの比較
3Dメタバースオフィスのサービス例4つを紹介します。3Dメタバースオフィスはリアルオフィスに近いという特徴を持っています。しかし、パソコンのスペックや通信スピードが求められるという欠点も。
| サービス名 | Horizon Workrooms | Mesh for Microsoft Teams | Virbela | V-air office |
|---|---|---|---|---|
| 月額 | β版は無料 | 正式リリースはまだ | $10/1人 | 要問い合わせ |
| 最大参加人数 | 50人(VRは16人) | – | 10人~200人 | – |
| 専用デバイス | Meta Quest 2 | Holo Lens 2 | なし | なし |
| 日本語対応 | ○ | – | ○ | ○ |
Horizon Workrooms

Horizon Workroomsは、Facebookから社名変更した「Meta」が提供する3Dメタバースオフィスです。
Meta Quest 2(59,400円~)というVR機器を装着すると、自分やメンバーのアバター、パソコンなどが仮想空間に表示され、リアルな会議ができます。
特徴は「人間の動きや声が忠実に再現できること」です。例えば、メンバーの発言に対して親指を立てて称賛を表せば、メタバース上の自分のアバターも親指を立ててくれます。また、口の動きや身振り、視線、声の方向も再現できるため、まるでリアルの世界で会話しているかのような感覚を味わえます。
Mesh for Microsoft Teams

Mesh for Microsoft Teamsは、マイクロソフトが提供する3Dメタバースオフィスです。
Mesh for Teamsを使うと、Teams内に仮想空間を構築でき、メンバーのアバターを表示させられます。例えば、ビデオ会議中に仮想空間に移動し3Dの世界でミーティングを行えるのです。
VRデバイスだけでなく、パソコンやスマートフォンからも参加可能です。アメリカのアクセンチュア社ではすでに試験導入されており、新人研修に使用されています。
Virbela

Virbelaは、アメリカのIT企業Virbelaが開発した3Dメタバースオフィスです。オフィスとして実際に利用するには「Team Suite」というパスワード付きのオフィスを契約する必要があり、1ユーザー月額$10で利用が可能。
オフィスの中には個別のオフィスがあったり、ソファーがあったり、会議室があったりと本物のオフィスで仕事をする感覚が味わえます。アバターもその日の気分によって変えられるため、現実の世界で髪を切った日には仮想空間でも髪を短くするなんてことも可能です。
V-air office

V-air officeは、日本企業「Urth」が開発した3Dメタバースオフィスです。特徴はオフィスを「唯一無二」にできること。理由は、オフィスのデザイン設計から携わってくれるからです。
メタバースオフィスツールは、もともと用意された空間やプリセットからオフィスのデザインを選択するものが多いです。対してV-air officeは、設計のプロや建築デザイナーがメタバースオフィスを設計してくれます。
2Dメタバースオフィスの比較
2Dメタバースオフィスは、テレワークでの気軽な会話にもってこいのツールです。軽量設計で、起動したままでもパソコンでの作業に支障をきたしません。
| サービス名 | VoicePing | oVice | Gather | Sococo |
|---|---|---|---|---|
| 月額(一部) | 20,000円/50人 | 20,000円/40人 | $7/1人 | 25,000円/10人 |
| 無料トライアル | 2週間 | 2週間 | なし | 3週間 |
| 初期費用 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
VoicePing

VoicePingは、「今ちょっといい?」という気軽な会話を実現できるメタバースオフィスです。たとえテレワークでも、相手の状況(話しかけてもいいか)が一目でわかり、ワンクリックで声をかけられます。
また、ミーティング機能も豊富で、後から内容を共有できる自動録画機能、音を出せない状況でも会議内容がわかる文字起こし機能、グローバルな人材とのコミュニケーションの壁がなくなる音声翻訳機能(41カ国語対応)などがあります。
さらに、テレワークでの生産性向上にも貢献してくれます。なぜなら、ログインした時間や作業時間を記録できるからです。
oVice

oViceは、リアルのコミュニケーションを再現したメタバースオフィスツールです。例えば、アバターの向きや距離で声の大きさや鮮明さが異なります。
相手と向き合っていればクリアな音声で会話でき、会話しているグループに近づけばちょっとずつ声が聞こえるようになっています。メタバースオフィスですが、極限までリアルオフィスのコミュニケーションに近づけられているわけです。
Gather

Gatherは、「メタバースオフィスにログインするのが楽しい」と思えるツールです。(※表記は英語のみなのでご注意ください。)
社員のアバターやオフィスはドット絵で表現され、まるでレトロなゲームをプレイしている感覚を味わえます。見た目はゲームに見えますが、通話・画面共有・チャットなどテレワークに欠かせない機能はしっかり搭載されています。
見た目通りのゲームも用意されており、数独やポーカー、人狼などがあるため、休憩時間にメンバーとゲームをしながらコミュニケーションを取ることも可能です。
Sococo

「Sococo(ソココ)」は今お使いのWeb会議ツールのまま、シームレスに移行できる2Dメタバースオフィスです。
Zoom、Microsoft Teams、Google Meet、Webexの4つのWeb会議ツールと連携可能で、連携すればURLの発行なしでメンバーを招待できます。
また、Sococoは社外メンバーとのやり取りにも適しています。なぜなら、相手に専用アプリをインストールさせることなく、Google Chromeさえあれば起動できるからです。会議室は30人ほどまでなら対応可能なため、業務委託や取引先との大人数でのミーティングもできます。
メタバースオフィスの導入でテレワークの生産性を高める
メタバースオフィスとは、「インターネット上の仮想空間にある擬似的オフィス」のことです。
メタバースの導入で、テレワークでも円滑なコミュニケーションが可能、オフィス賃料の削減、メンバーの勤務状況の可視化など様々なメリットを得られます。
また、メタバースオフィスには3Dと2Dのものがあり、現在普及しているのは2Dオフィスが多いです。2Dは軽量設計でパソコンのスペックや通信品質が求められず、気軽に使用できることが魅力です。
ほとんどの2Dメタバースオフィスは無料トライアルを設けているため、まずはお試しして導入を検討してみてはいかがでしょうか?


