
動画の文字起こし、翻訳字幕、SRT書き出し、字幕焼き込み、AI吹き替えに使えるツールを比較。目的別の選び方と公開前の校正手順を解説します。
動画を文字起こしする目的は、会議録を検索したい、YouTubeへ字幕を付けたい、研修動画を多言語化したいなどさまざまです。目的によって必要な出力は、テキスト、SRT、字幕を焼き込んだ動画、翻訳音声へと変わります。
この記事では、動画・音声ファイルを扱える代表的なツールを、文字起こし、字幕編集、翻訳、吹き替え、議事録化の観点で比較します。
掲載内容は2026年7月14日に各サービスの公式情報を確認しています。料金、無料枠、対応形式、言語は変更されるため、処理前に公式サイトで再確認してください。同一動画による全ツールの精度比較は実施していません。
結論:必要な納品物から選ぶ
- 会議録画を要約・検索したい:VoicePing、Nottaなどの議事録型
- 動画をテキスト感覚で編集したい:Vrew
- SNS動画の字幕デザインまで一つの編集画面で作りたい:CapCut、VEED
- SRT、VTTなど字幕ファイルを細かく扱いたい:Taption、VEED
- 翻訳字幕と翻訳音声を一つの処理で作りたい:VoicePing、VEEDなどの対応機能を比較
動画文字起こし・翻訳ツールの比較
| ツール | 主な用途 | 文字起こし後の出力 | 翻訳 | 動画編集 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|---|
| VoicePing | 会議、講演、研修の多言語化 | 会議ログ、SRT、ASS、字幕付き動画、吹き替え動画 | 対応 | 字幕・吹き替え生成が中心 | 議事録と多言語動画を同時に作りたい |
| Vrew | YouTube、解説、インタビュー編集 | 自動字幕、翻訳字幕、編集動画 | 対応 | テキストベースの動画編集 | 字幕を直しながら不要部分も編集したい |
| CapCut | SNS、短尺、マーケティング動画 | 自動字幕、翻訳字幕、編集動画 | 対応 | テンプレートや装飾が豊富 | 字幕の見た目まで整えたい |
| Taption | 字幕制作、多言語コンテンツ | SRT、VTT、TXT、FCPXMLなど | 対応 | 字幕タイミング編集が中心 | 字幕ファイルを他の編集ソフトへ渡したい |
| VEED | ブラウザ動画編集、字幕、翻訳 | TXT、字幕、字幕付き動画など | 対応 | ブラウザで編集 | インストールせず制作を完結したい |
| Notta | 会議録画、取材、音声・動画の整理 | 文字起こし、要約、共有、ダウンロード | テキスト翻訳に対応 | 本格的な映像編集は主目的ではない | 発言検索と議事録を優先したい |
「翻訳対応」でも、字幕テキストだけを翻訳する製品と、翻訳音声を付けた動画を作れる製品は異なります。必要な出力形式を先に決めてください。
動画文字起こしの基本フロー
精度と作業時間を安定させるには、いきなり自動翻訳まで実行せず、次の順番で進めます。
- 元動画の音質と利用権限を確認する
- 発話言語を正しく設定して文字起こしする
- 人名、製品名、数字、固有名詞を原音と照合する
- 一文の長さと改行位置を字幕向けに整える
- 校正済みの原文を翻訳する
- 翻訳字幕の意味、長さ、表示タイミングを確認する
- SRTなどの字幕ファイル、または字幕付き動画として書き出す
原文に誤りがあるまま翻訳すると、その誤りも別言語へ引き継がれます。文字起こしの校正後に翻訳することが最も重要です。
1. VoicePing:議事録・字幕・吹き替えを一つの処理で作る
VoicePingのFile Transcribe は、MP3、WAV、M4Aなどの音声、MP4、MOV、AVIなどの動画をアップロードし、文字起こし、翻訳、AI要約を行う機能です。
処理時にオプションを選ぶと、次の成果物を作れます。
- 原文と翻訳を含むMeeting Log
- AI要約とトピック
- SRT・ASS字幕ファイル
- 字幕を焼き込んだ動画
- 翻訳ボイスオーバー付きの吹き替え動画
向いている用途
- 会議録画から議事録と字幕を同時に作る
- セミナーや研修動画を別言語へ展開する
- 元音声、文字起こし、要約を後から検索する
- 同じ動画から字幕版と吹き替え版を作る
注意点
字幕付き動画と吹き替え動画には翻訳先言語の指定が必要で、文字起こしだけより処理時間が増えます。公式マニュアルではワークスペースのFile Transcribeストレージ条件も案内されているため、大容量動画を継続処理する場合は削除・保管の手順を決めてください。
2. Vrew:文字を編集する感覚で動画を直す
Vrew は、AIで動画の音声を文字起こしし、字幕テキストを基準に動画を編集できるデスクトップ中心の動画編集ツールです。Mac、Windows、Ubuntuへの対応を案内しています。
向いている用途
- YouTubeや社内解説動画の不要部分を文章から削る
- 自動字幕を校正しながら動画を編集する
- 基本字幕と翻訳字幕を同時に表示する
- インタビュー録音を文字起こし・要約する
注意点
議事録の権限管理や会議横断検索より、動画制作の編集体験に強みがあります。チームの承認フロー、必要な字幕形式、商用素材の利用条件を確認してください。
3. CapCut:SNS向けの字幕デザインまで仕上げる
CapCutの動画文字起こし は、動画から自動字幕を作成し、翻訳や動画編集につなげられます。字幕のフォント、色、アニメーションなどを編集し、SNS向けの動画として書き出せる点が特徴です。
向いている用途
- TikTok、Instagram、YouTube Shortsなどの短尺動画
- 自動字幕を付けた商品・採用動画
- 翻訳字幕の見た目をテンプレートで整える
注意点
公式ページに記載される精度の数値は、すべての音源で同じ結果を保証するものではありません。日本語の固有名詞、BGMが大きい動画、複数人の会話は公開前に原音と照合してください。無料で開始できても、書き出しやAI機能の条件はアプリ・地域・プランで変わることがあります。
4. Taption:字幕ファイルとタイミングを細かく扱う
Taption は、動画の文字起こし、字幕翻訳、字幕タイミングの編集に対応するオンラインツールです。公式サイトではSRT、VTT、TXT、FCPXMLなど複数の出力形式を案内しています。
向いている用途
- YouTube用SRTとWeb用VTTを作り分ける
- Final Cut Proなど別の編集工程へ字幕を渡す
- 原文字幕と翻訳字幕を管理する
- 字幕の時間と改行をブラウザで修正する
注意点
最終的な動画演出を別ソフトで行う場合、文字コード、フレームレート、字幕の重なりを小さなファイルで先に検証してください。
5. VEED:ブラウザで文字起こしから動画編集まで進める
VEED は、動画をアップロードし、ブラウザ上で自動文字起こし、字幕編集、翻訳、動画書き出しを行えるツールです。字幕のテキスト、タイミング、フォント、色を編集できます。
向いている用途
- ソフトをインストールせず動画を編集する
- TXTや字幕をダウンロードする
- 字幕を焼き込んだ動画を作る
- 翻訳や音声合成を含む制作を検討する
注意点
VEEDの公式ヘルプ では、翻訳機能の試用・プラン別制限が案内されています。文字起こし開始が無料でも、翻訳、字幕ダウンロード、書き出し条件は別に確認してください。
6. Notta:動画を「会議記録」として検索・共有する
Notta は音声・動画ファイルを取り込み、文字起こし、話者設定、AI要約、テキスト翻訳、共有を行えます。映像の演出より、発言内容の確認・検索・議事録化を優先するときの候補です。
向いている用途
- Zoom録画や取材動画から議事録を作る
- 発言をタイムスタンプから聞き直す
- 要約と全文をチームで共有する
- 複数の録音・動画を横断検索する
注意点
字幕をデザインした動画の完成が目的なら、動画編集型のツールも必要です。公式料金表でファイル取り込み数、文字起こし時間、ダウンロード、翻訳の対象プランを確認してください。
SRT・VTT・ASS・字幕焼き込みの違い
| 形式 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| SRT | 時間と字幕本文を持つ一般的なテキスト形式 | YouTube、動画プレーヤー、編集ソフト |
| VTT | Web向けの字幕形式で、追加情報も扱える | HTML5動画、Web配信 |
| ASS | フォント、位置、装飾などを細かく指定できる | デザイン性の高い字幕 |
| 字幕焼き込み | 字幕を映像の一部として出力 | SNS、字幕切り替え不要の配布 |
字幕ファイルは視聴者がオン・オフでき、修正や再翻訳もしやすい一方、再生環境によって見た目が変わります。焼き込み字幕はどこでも同じ見た目になりますが、後から消したり言語を切り替えたりできません。
読みやすい字幕にする校正ポイント
一行を長くしすぎない
自動文字起こしの段落をそのまま字幕にすると、画面を覆い、読む前に消えます。一つの字幕に情報を詰め込まず、意味の切れ目で分けます。
音声と字幕の開始を合わせる
字幕が発話より先に出ると内容を先に見せ、遅すぎると理解を妨げます。冒頭、中盤、終盤を再生し、ズレが累積していないか確認します。
固有名詞と数字を原音で確認する
会社名、製品名、人名、金額、日付、URLはAIが誤りやすく、翻訳にも影響します。辞書登録が可能なら処理前に登録します。
翻訳は映像の文脈で確認する
テキストだけでは、画面上の操作、指示語、話者の意図を取り違えることがあります。翻訳者または内容を理解する担当者が映像と一緒に確認します。
BGMと効果音も必要に応じて表す
アクセシビリティを目的とするクローズドキャプションでは、会話だけでなく、重要な音や話者の情報も必要です。単なる翻訳字幕と要件を分けてください。
公開前チェックリスト
- 動画・音声を処理し公開する権利がある
- 登場人物から必要な同意を得ている
- 原文の固有名詞、数字、日付を原音と照合した
- 翻訳を映像の文脈と合わせて確認した
- 字幕の改行、表示時間、画面との重なりを確認した
- SRTなどを実際の配信先へ試験アップロードした
- スマートフォンとPCの両方で字幕サイズを確認した
- 元ファイルと校正版字幕を安全に保管した
よくある質問
YouTubeのURLを入れるだけで文字起こししてよいですか?
ツールが技術的に対応していても、他者の動画を無断で取得・再利用してよいとは限りません。自社が権利を持つ動画、利用許諾を得た動画、配信規約で認められた範囲に限定してください。
無料ツールだけで長い動画を翻訳できますか?
無料枠には時間、ファイルサイズ、翻訳、書き出し、透かしなどの制限がある場合があります。まず短い代表区間で品質と工程を試し、本番尺に必要なプランを計算してください。
AI吹き替えは人の確認なしで公開できますか?
おすすめしません。人名、数値、専門用語、固有名詞に加え、話者の意図、声の利用許諾、文化的な表現を確認してから公開してください。
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本記事は各社の公式情報を定期確認し、対応形式、主要機能、出力方法に重要な変更があった場合に更新します。


